これはただのハリケーンなんです

わたしは家の鍵を開けて玄関をくぐる。

白色光、布団もふにゃふにゃでソファーも断層ズレ地殻変動のごとく位置、 配置も変わっているようだ。飛び散った書類にチラシ、水位の少々下がった飲みかけのコーヒーに見たこともないものが詰め込まれた見たこともない段ボール。

わたしが出勤するのは8時00分。お嫁様の出勤は8時20分。

この短時間でこれだけの甚大な被害を与えられるのは、これは自然を超越した大そうな鬼才である。

わたしのお嫁様は仕事が早いことで巷では有名であったがその実力たるを今回の被害状況を一目、一見しただけで垣間どころではなく脳裏にしっかりと焼き付けられる。

 

下記の絵は、マリーアントワネットな罪深さを誇るわたしの豪奢な昼食の製造現場を示したものです。

 

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Fig.1  調理様子図

 

当たり前のことをドヤ顔で申し上げて誠に申し訳ないが、これは我妻の愛妻弁当である。新婚生活たるもの、妻が毎朝玄関まで仕事に出る夫を見送り、そっと、軽いにこやかな笑みと共に、これを持たせてくれるものである。

加えて

「山本、今日もおまえのパン黒いな」

という御言葉を毎昼、課長から頂けるのである

 

 

破局しました。ハロハロラムネ

行き場を失った私の想いは、何処に彷徨うまでもなくコンマ5秒でベルギープリンぱふぇへと向かったのだった.…

 

「ベルギープリンぱふぇで」

わたしは言い放った。二言はない。咄嗟のことに多少の動揺が露見していたのを、店員のキャワな女子は見逃さんかったとは、思う。

確かに、私のハロハロラムネ味への想いは日々日々膨らみ強固になっては膨張することを繰り返して、その内巨大な羊羹の様にわたしの腹の底で勤務日中に渡って鎮座し始めるやその存在感を遺憾無く発揮すること、わたしのハロハロラムネ味への愛は結構、そりや大変なもんなのである。

小宵、わたしがベルギープリンぱふぇと座を占める公園のベンチからは、綺麗な鈴虫の音色とノイズの効いたラジオが異様に爪と髪が伸びた老人によってもたらされており、自然な折り合いが付いた、端整な空気感に包まれている。

わたしは、そろそろお嫁様からお呼び出しを喰らう頃合いだろうと抜かすや、スマホの画面に噂の主が現れよった。リビングの床にぴったり張り付いたままロウのように溶けて、電話を掛けている様子が何故か手に取るように分かる。

 

そうこうしている内に、ハロハロラムネ味のことなぞわたしは忘れていたのだった。

 

 

 

 

 

定時上がりを、爆速でかける

ガソリンスタンドの薫りがもはや神域に達しているという意気がしたときに、ふと意味もなく秋の空を仰ぐ。と飛行機雲がとっても鋭いスコップのよう地面に突き刺さっているように、わたしは見た。でも冷静に考えればこの世は平べったくなくて奥行きがあるからあの一線は、飛行体はそんな急降下してる訳ではなくて、という思考が後からわたしをすっと追い越していった。

わたしは駅に向かうバスに飛び乗ろうと、ただひたすら走る。私が目指す一点、この停車場は、生きがいセンターという市営の施設に併設されており定時付近のこの時間帯にして生きがい帰りのご高齢人でごった返していると思いきや、三十前後のひとりの若人、恐らく近所のメーカー社員。それが何処かしらの虚空を凝視している。虚空、といってもそこまで一切の虚しさを抱え込んだ空間という訳でもない。その視線の先には丸眼鏡の坊主頭の野球青年。いわゆる高校球児。ワイシャツの襟が不自然にひしゃげて八分咲きの薔薇のようにさえみえる。

この男が球児を見つめてその結果を何を思おうか、虚空には何があったか?私には到底検討が付かないが、あの野球坊主頭に飛行機雲のスコップが突き刺さった格好になっている角度を眺めてこの男は享楽にふけっているかもわからんし、若干伸びてしまった坊主に夏の終わりを感じる風情、情緒を持て余していて生きがいセンターの入り口の前あたりでぶちまけてしまったのかもしれないし、そもそも、この野球少年なぞ元々眼中にないのかもしれん。ただ、この男が見つめていた虚空の先の大本命は、バス停に向かってメロスばりに爆走する針金、それを想起させるひとりの男かもしれない。

 

 

下書きスラム街

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DIYというのは要は日曜大工である日曜大工であるということ要は平日は大工で非らずということである。

察しのよい、方々であれば

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今読んで頂いたのは私が、遡ること約一ヶ月。私がブログの下書きとして保存した一部、というか丸々全文である。

タイトルは特に一切これといってない。Gr長とりあえずゴミ捨て場にプリンだけ正座させときました!みたいなブンショウ。何を察すれば良しか永久に、正直なところわかりません。恐らく書いてる途中に寝落ちしたか、きっと寝落ちたんでしょう。

と言い訳したいところなのですが…

これ、多分というかそうなんですがね、内容がホント、虚無に収束しちゃったんでしょうね。

ぼくの数ない美学の中の一つとして舞台袖を堂々淡々晒すというのはどうかと思うんですが

これはぼくの日記を記すスタイルの問題なので恐らくこういった下書きが山積していくのはもう回避のしようが無いのでしょう。

例として、今日は定時上がりやしカタリシスについて、というか自分の精神が浄化された経験そんときの所感か語りてぇとか思うじゃないスカ??それでもってどういった内容や構成を描くかをプロットしつつ書いていく

ぼくのこれまでの日記をパラパラ簡単におさらいしてみると、上のような作り方をしているのはせいぜい2、3割程度。

それ以外はというと、はじめの書き出しを、そのときの気分から導いて、そこからバトンを細かく繋げていくというスタイルを採用していることに私も最近になって気づきました。要は無計画。

私には特段世の中に強く訴えたい自分の中の普遍的なテーマとか、そういうのもないこともわかりました。目的は別にあるようです。

 

クロックスか非クロックスかの世界観

あれ、だれ。

現在、私は寮のワンルームの中央辺りからフラットな床の延長、玄関あたりをぼけっと寝起きの、恐らくはほとんど開いてない目でみつめていると思われる。

 

あれは靴では、ある。人とかではない。そう、靴だよ。靴だけどね、だけどじゃないんだけど、ありゃー用途としては上履き!建物の中で履くシューズで、見た目は黒赤。メーカーはナイキ。外見はクロックスの様だけど、まぁ、ね実際はクロックスよりもっと細身であの寸胴な感はないだが...クロックスはなんてかもっと真ん中あたり、あそこがパカパカするし...でもほぼほぼクロックスなんだけど、クロックスだね、あれは。あははは、

 

 

 

寮から社宅へクビをふる毎日

寮から社宅へ。今の私の寮の一室。ご大層な荷物という荷物はなくて研修で溜まった書類とか明後日のお嫁様に渡された輸入モノのプロテインとか野外活動で重宝される江原のタレ(黄金)とか純潔と対極に位置する珈琲メーカーくらいである。

社宅の広さは3LDKという当面、2人の人間で住むには広大ですが、あと何日もすればゆっくり物による空間の侵食、そんなのんも進んでいってそのうち十把一絡げ有象無象、張り切り過ぎたマダムの弁当箱化が起こりなんというかトンデモナイことになっちゃうかもしれません。

 

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Fig.1 ねつりきがくだいにほうそく。

 

………………

早速ですがお嫁さんがジモティというアプリ(地元の面々が要らんもんを押し付け合う)で扇風機をもらってきて意気揚々、我々はスイッチオンをかますや案の定というか、あの風切り音と威勢のいいモーター音は鳴り響くことなどあろうこともなく。代わりと言ってはなんですがお嫁さんのドライバーヲモッテキテという号令が鳴ったので背筋をシャンとして走っていき額に汗が分厚く載った状態で分解道具を渡すとニッコリ、手を動かし始めました。

 

 

 

OMAKE


扇風機の首振り機構

 

(モーター後ろ、しめじみたいの押し込むと首回るじゃないすか?首回るのと風送るのはそれぞれ別々のモーターからの動力ではないんですね)

 

 

 

 

じきに結婚する26歳が妄想する青春とやらを

自動販売機という機械を、皆さんはご存知のことと思う。

私も一応、存じ上げておりますこと、その事をこの場をお借りて絶賛、表明させて頂きたく思う。

私という人間は、自分の職場、工場敷地内に設置されている自販機という自販機(以後自動販売機を自販機とする)を、全ての自動販売機の位置情報を脳内で見事に天晴れつるんと掌握して、各々の自動販売機の何行何列にボスのブラックアイス!なっちゃんおれんじ!みたくピンポイントで座標を指定できるのだ。

こういう私の酒の肴にもならん一種の特技は正直なところ田んぼのかえるのゲロ程にもならんし、そもそも一般職のゆるふわ女子と自販機の話で絶頂の最中に他の男との絶対的な格見せつけるために、世間で言う所のマウンティングを画策した私はこの自販機全知全能の神である事をうっかりさえちゃんに明かしてしまうのだった。

「なら、やまもとくんさ」

「はい、いかがいたしましょうか...」

「第五工場北門寄りの自販機2行3列」

「普通のアクエリ」

我々、暇人御一行は、工場の脇を日焼け止めを腕に塗りたくりながら歩くさえちゃんを先頭に男三人がぶら下がる形となり、このクソ暑い時間帯、昼休み真っ只中の工場を突っ切って、北門に向かう羽目になった。

休憩終了時刻は13:00ジャスト。

現在時刻12:40。

実際、我々のいる建屋と第五工場と北門は対岸に位置するため普通に歩いても十分弱。往復でちょうど我々の休み時間は炉心溶解し、この炎天下、私の手に握られたガツンとみかんもつらつらみかん位には降格するのだろうと背筋がゾッとして、なぜか涼が巡ったのでよし。

例の自販機に着くと要件は一瞬にして片付いてしまった。私はにぎょうさんれつあたりをてきとうに指差した。無感動らしき声が飛んだ

「ほんとだ」

明日都心に雪が降る事を予報で知った15歳みたいな声色だった。私は胸ポケットから小銭を出して何となく、あの二行三列に、わたしの指はふらふらと向かって行った。

ことん

今日は爽健美茶が降ってきたよ

 

ファミチキで線を描く

[ファミチキで線を描くとね]

アスファルトは夕陽から放たれる一線を此方にくれてやった。逆光、あのガールズの黒い影がこちらに向かって、その手を伸ばす。

彼女はきっと右利きだろう。

と、なぜかこの逆光のなかその程度の感想を抱けただけでも、私はこれ程の嬉しいことがあるのかと思った、思ってしまったわけです。

左手にはふわりとした塊を指で軽く折り曲げて、手を止めたまま転がして遊んでいる。

滴り落ちるのは、右手の方々からでガールズがそれを強く握るのがこちらから分かると、またそれはぽたり滴り落ちる。丁寧に舗装された路面に

私がガールズと定義した一応の存在は、眩しい西陽に立つ何かであって正直なところまだ何者でもすらない。今のところ確からしいことが一切ないしその確からしいことが、何か今後、将来的に増えていきそうといもの、新鮮な希望をこちらに抱かせる隙というものがないように思う。

私はその希望とやらを一切腰にひっ提げない割に、このお話しの底を、ガールズが硬い路面にファミチキを押し付ける様子を、アスファルトにべったりと肉脂が.....それで線を描くために腕をワイパーのように動かすはずである。そのはずだ。

ガールズはこの惣菜で何を描くのだろう?

眩しい、眩いが彼女の右利きが、右利き?が暗い顔と思しき方にゆっくりと向かってく。

刹那、陽が傾いた。その表情が伺えた。表情に動きはない。無機的な冷たさ。

整ったその顔に現れる唯一、唯一の動きは口元だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日も数珠っす

布団の上を数珠、がぷかぷかしてる

明日の朝だか明後日の朝だか知らんが、情景、ともいえぬ一枚の絵に数珠が写り込んでいる

その絵は何というか、実際には見慣すぎた光景のはずなのだが、なぜか馴染みというものがこれ程ないのかと、思う

ベットに横になったまま少し背中を上げてその浮遊する絵に顔を近づけてみると、一つ一つが人間の型をしていて、それが数珠を成しているような気がした。小豆みたいな粒子が工場の門をそろそろくぐっていく。煩悩達がこの中で複雑怪奇な絡み合いを起こすということを考えると。朝を迎えるというのは、

 

 

すいみんうぉっち

18:00

寝ている人間というのはこんなにもつまらないものか、と思い知らせる。

わたしの携帯の命もまさに風前の灯といった具合で、どうにもこうにも本の一冊も無いしどうでもいい空想に耽る以外に、サンマルクカフェで過ごす術はないのだろう。

目の前の寝ている彼女は口をぱかぁとしてそこからは透明感ある雫が伸びては、重みに耐えられずぷつり切れる。という一連を繰り返して、自分に右腕に艶やかな、クレープを薄く熱いプレートにさっーと広げた様な涎の膜を生産している。

もう既に、彼女の親戚達とのビアガーデン宴はとうに始まっていた。彼女の親戚達が住むここ広島に遥々やって来て、彼女は結局、工場の夜勤勤務のツケが爆発してこの有様である。

18:17

血走った眼で

今の音何!

とちょっと外向けの出来る限り可愛いらしい声を作ったが寝起き感を隠しきれない何とも妙な音、そんな声を出した。わたしは

コーヒーを挽く音だよ

と説明した。