2017-02-25から1日間の記事一覧

Part3

遠くから、足音が迫ったーその音は次第に大きくなり、自身の体の規則的な揺らぎと相まって、不気味な様相を奏でた。 彼は意識的に目を開いた、が目に飛び込んできたのは暗黒。窓から入り込む薄く、細い月明かりが長椅子の端にある鉄製の手すりに反射し、やっ…

Part2

彼は特段、迷うしぐさも見せずに列の後方をさっと抜け出して、車内に入った。入り口に足をかけたその刹那に、空間でもてはやされ、我慢ならなくなったその空気達、それらが、体を包見込むのが分かった。 眼前には、白く整然と並ぶつり革、その下には緑色のふ…