妻という条件

肺炎療養2日目。 雨だ。 そこら一帯の道ばたを足早に歩くおじさんは、恐らくこの街の優良企業に勤め人であるのはほぼ間違いなく、決して平坦ではない修羅を幾度となく潜り抜けた猛者であろうし強靭な精神と肉体を備えた存在。 彼らの作った世界を享受して我…

懺悔:娘の保育園の連絡帳について

なんてわたしはダメな大人であろうか? この凡庸すぎる想像力.... 私は毎日、この娘の日常を綴った連絡帳を心の栄養源にして生きているのだけど、これほどまでに何か別のイマジネーションを歓喜してしまうっくそぉおおおおお俺はクソだと思いつつ、純真さと…

肺炎療養1日目

おもちゃ。特に子供のおもちゃは小さな可愛いピアノとか愛おしいおままごとのセット、オタマだったり、べりべりマジックテープでくっつく茄子だったり、トマトだったり、木でできたコンロだったり。 これらのものは、実用品を元に作られた模造品であり、実際…

昼休憩

疲れたーと思ってベッドの中で大きく伸びをする。嫁は職場に、娘は保育園に。わたしはベット。もうお昼になったからあと半日延々書類作成を頑張るフリをすれば、今週は逃げ切れる。 今週の残務は来週にそのまんま移行される。いわゆる先延ばしは、別にわたし…

11連休

俺は働いていないが、休みの慣性が働き続けたので、結局連休明けの昨日今日を休んでしまった。ただ一日を無駄にしたという気分だけが残った。 仕事にいっても特に面白くなく1日が終わるし、休んだところでゴロゴロ横になって気付けば夕方というのは結局のと…

生活感礼賛

煌々とする照らすリビング。夜。洗濯機はぴたりと唸り声を止めた。この静けさに水を差す存在といえば空気清浄機くらいしかないわけだが、そもそも静かがそれほどまで得意ではないわたしは、逆にこの報われない働き者に一定の賛辞を示したいが、そもそも何を…

純粋エロ肯定

週末の友人の結婚式は羨ましいという黄色い感情が湧き起こらない瞬間が殆どないほどに、終始わたしは口を開けていたようにさえ思う。 何がこんなにもええなぁと思わせたかというと、旧友らは皆んな人間活動の只中にあるということを、まざまざと感じたことで…

犬山城

午前に犬山城に訪れた。 この小高い丘の上に、木曽川を望むように建つ天守といえば、迫力や壮麗さは姫路城に劣るものの、品よく最低限で丁寧に、格好良く纏まってる印象を受けた。 天守閣の手前の城門(チケット売り場)に行くまでに、5分ほど石畳のうえを登っ…

まだタッテナイです。

バインダーにある一枚の紙が挟まっている。 問診票。 わたしは然るべきことを、ここに表明する必要がある。上から順に氏名・性別を書いていき、住所ときてから最後のある欄に辿り着いた。 症状。の欄にたどり着いてから、わたしは意識的に呼吸をひとつ置いた…

まじかよ!!はなまるうどん!!

「はなまるうどん」のかけ小が270円になったという事実を先ほど妻から何気なく知らされて、私は今世紀最大困惑の中で息をしているわかだが、なんでそんなにも勝手に呼吸困難に陥ってるかと問われれば、「はなまるうどんのかけの小」が私の浪人時代の命を繋い…

誰もいない日、家

杜若の湯に行こうと決断したのは、社食の下の下の売店でひとりカップ焼きそばを口に放っていたときである。初めに目に入ったのが「月一有給推奨キャンペーン」で続いて「知多のミカン狩り」。次いで「合宿免許の宣伝」ときてから、「極楽浄土」というこの時…

ほぼ最近、妻が二人目の子供が欲しいと言い出した。わたしは二人目が無事に産まれたとして、家が家として回っていくかも不安に感じたしそもそもしっかりと育てられる自信なぞあろうはずもない。しっかりと育てるとはなんだよそりゃ?それ美味いんか?と思う…

のっそりと、いざ暇という時間が与えられるとなにもできないわけで、時間を優雅に持て余す遊びをする訳だが、これもこれで遊びとして成立していなくもない気が、しなくもない。 昨晩の華金は、3年前に行きづりで偶然席が隣で呑んだオッサンと再び盃を交わし…

ちかごろ書くという操作は何であろうか?とよく思う。例えば、メモを取ること。メモを取るのは何か覚えておかねばならないことをそこに書き留めておくことによって、書き留めた瞬間からの未来に仮にそれを忘れたときの転ばぬ先の杖としての役割を演ずる。 一…

やたら最近、妻は悶々としていることが多くなり、布団に寝っ転がってスマホをいじりつまらなそうにしている。ダラダラしているというよりむしろ、身体全体の疲労感に苛まれ身動きが取れませんという状態のようにみえる。 仕事から戻ったわたしは、娘に離乳食…

んーおっさんが或る別のおっさんを抜き去ったり、サイドバイサイドで、はたまた抜ききれなかったり、そういう瞬間を朝から見やるというのは、決して気分の良いものではないと私はこの歳になって思った。 おっさんが前のおっさんをすぐさま抜き去っていくなら…

ちかごろの夜中、妻子を家に置き去りにして山岡家に行った私は、これからどうそれを償って生活を送ってゆけばよいのかに途方にくれた。 どこかの民家に押し入ってテレビをつけたものならば、刈谷市在住の細身眼鏡29SAI男が指名手配されておれば、わたしを捕…

ちいさいころ、わたしは十の頃から、自分に対して違和感を感じ始めたように思う。それは、周りの環境があってそれとは永遠に分かち合えないような感覚を無制限に覚え続けているような、月並み言うと、孤独さに似たものです。ありふれたもの。 他の人間といて…

ほんの小走りで、工場内のだだっ広い敷地内を抜けていく帰り道。あちこちでカラスが暇な集会をしているようだが、それは単に周囲に人気がないことを示しているだけにしか、思えなかった。 あぁ素晴らしきウィニングランならぬウィニングウォークで、わたしの…

わたしはこのコンビニの店員と、どうやら馬が合うらしい。なぜ?どうしてそんな風に感じるか?そう細かく問うているうちに、やっぱり何でもないような?台風一過のひんやりした秋風が、うやむやを一掃してゆくように。 秋バテという文言がコンビニの入り口に…

妻は呑んだくれ酔っ払ってゲロを吐いて寝た。娘はたらふくに、うどんを細かく刻んだものに湯豆腐を食べてお腹いっぱいになって夢見心地である。結構うまそうなもんを食っていた。 わたしは、というと、素面で意識もシュッとしてしたが、わたしもわたしで、自…

両親に連れられて緑地公園にきた。父と母は隣の家族と何やら話し込んでいるようだった。わたしはその間、殆ど放置されており、1人寂しくハイハイ歩きの練習に励んでいた。そこで不幸にも、腰の曲がったあの老人に絡まれてしまったという顛末である... 「あの…

食洗機を止めた

食洗機。いつもうるさいけど本当にありがとうな。うるさいけど感謝している。甘ジョッパイ正義のアメリカ食文化を感じる。ぅおおおおおんぅおおおおんと、彼は元気な声をあげた。 到底、声などというものでなく、ポンプと洗浄用のファンのモータがただただ煩…

第2次パスタ欲(10年振り)

パスタ欲が滞りなく喉元から溢れ出てきてしまう。 いまパスタ以外に作りたいものがない。アラビアータ。それは気づいたら机にぽつん置かれている。アラビアータを作った記憶がないにも関わらず。 それでは何処からともなく延々、アラビアータが湧き出でる地…

2022.7.5

会議の議事録を先程まで取っていたから頭がそのモードだが、今は休憩中なので、あれやこれやテキトウなことを喋っておっても何一つ罪に問われない。 罪で思い出したが、大学生のころに罪と罰を読んだ。読んだといっても上巻の、それも七割くらいだが、私は本…

衛生中立洗面所

ファミリーマートはわたしにとって中立的だ。セブンほど安定感もなく、ローソンほど冒険もしないしかといってミニストップほどの飛び道具感もない。刺激的ではないが落ち着くし、家の周り半径500mにも3件ほどあり一番多く目にする頻度も多い。 鏡の代わりに…

オッサン1000

だいたい、冨樫もヤクルト1000もズルい。彼等は長い間眠りについていたのに(ヤクルトは正直知らんけど)、じっとしていたのに、久々に目覚めたと思えば止まぬ待望と切望と賞賛との嵐とに晒される皆大好き超絶人気者である。 名古屋駅の信号待ち。 一オッサン…

2022.5.13

会社でたまに無性に正直になりたいときがある。そういうとき、<正直ベース>なる前置きことばを言わねばならぬのは、難しい理由ではない。 基本的にやりたくないことも仕方ないからイヤイヤでもイエスと呑み込んでますし大人だからちゃんとやりますという暗黙…

2022.4.15

雨の中、祖母の葬儀は取り行われた。家族葬というもので親族以外は誰も集まらずに式は行われた。 生前、祖母は近所にもほとんど知り合いを作らなかった。死ぬまでの5年は施設にいてほとんど話もできずに時が過ぎて死んでしまった。 実際、祖母の取り巻く周辺…

2022.4.14

あからまさまに雨が降っている。傘は持っていない。 非常に困るなと思うのだが、よくよく考えると何が困るのだが具体的にはよく分からない。なにか問題があるだろうか?冷静になってみても候補は浮かぶが決定的ななにかはでてこない。名古屋駅の西口からロー…