研究室で拾った財布

研究室で財布を拾った。そのまま放置しといても良かったが、念のために拾っておく。


とりあえず、周りの人間に聞いてみる。しかし皆、違うと答えた。中身を開けて見るのは癪だった


実は拾った時点で大体あの先輩の持ち物だろうなぁと自分の中で合点していた


それは、その先輩がダラシないとか、何かぬけているとか「財布を落とした」という行為からの推測ではなく、財布そのものから私が独断と偏見で判断したことだった。


それは、その先輩を形作る私の中でのイメージとその財布が合致したという種類のものであった。


では?私の中の身勝手なイメージはいつ、どこで製造されたのだろうか?色々と思い返してみれる。


ある日のゼミの記憶…


ゼミ発表は結構その人間の性質を洗い出す。勿論、研究の進捗具合、発表の巧さそれとは別のベクトルのもの。


僕の脳に強く刻印されていたのが、PowerPointである。最もその構成やフォント、色使い、そういったものから繊細さを感じ取れたり、弱気さや逆に力強さ、自信を感じることも出来る。


そこでの私の記憶が、この財布と直接、一瞬にして結び付いたことは多分間違いない


そう思うと、研究発表や報告会は自分を宣言する絶好の機会なのかもしれない