さっき作ったパンを駅のホームで食べる。

クソサミいホーム、鞄から全然密閉されてないジップロックを取り出した


ジップロックを開けると、パンの上にほんのり乗った強力粉が、小さく舞った


パンを口に運ぶ。味はよく分からない、いたって質素のような気もする。


完全に不慣れだった。そもそも「自分の作ったパンを夜のクソみたく寒いホームで食う機会」に慣れてる人とはどんな生物だろうか?


明らかに通常とは異なるという違和感、何だろうか?


普段なら大抵、この時間帯に腹が減るとkioskでテキトーに菓子パンかおにぎりを買ってホームで食う。


小サイズのビニールからおにぎりを取り出し、特に何を考えるでもなく、1.2.3の手順に忠実に従う。すると瞬く間に綺麗に海苔を巻かれ整ったおにぎりが出力される。


あの粉っぽい感じもない。ある奇妙なフォルムも、ムラっ気のある味も。


確実に、正確に、私自身に味という名のインパクトを刻み付ける。常に一定のリズムで。


もう全てが整っていて、全てがシステマチックで美しく、冷酷な美女のようにクールでスレンダーで


このパンには何か遊び心がある。僕の語彙力では正直評価しきれない。不完全さ故なのか?ミロのビーナスの腕が片方ないのと同じで。それとも単なる出来損ないへの同情心か?


この半分湿気った無機質な物体には、無数の解釈が存在しそうだし、違った角度から観れば溝色だが、どこかに板野友美の正面アングルのような存在が、そんな可能性を無意識に模索させてくる