まりもの嘲笑

大昔、摩周湖の錆びれた商店街で購入したもの


いつも机の上の隅に置いてあるものの、そこから放たれる彼らの存在感は余りにも微弱で、もはや感じ取れなかった。彼此一年以上、いやもっとかもしれない。気にもしなかった


購入したときは、店のおばちゃんから成長するとこんなにデカくなるんや!と落ち着きながらもやや興奮気味に言われ、丸々した拳くらいの毬藻を見せられたのを今でも憶えている


久し振りに毬藻をじっと眺めてみた。うーんしかし何も起こらなかったという具合。多少昔より毛がツンツンしたような?気がしなくもなくもない…そもそも、以前のこの毬藻がどういう状態で存在していたかすら記憶の断片にすらない


兎に角、あのおばちゃんが言ってた通り毬藻は成長はするのだろう!そういうことにしておかなければ何だか毬藻に申し訳が立たない気がした


そんな私の思いでさえ、どうでもいいという風に二対の毬藻はユラユラと陽の光を浴びた小瓶の中をただ、漂っていた