大分、これまた昔のおはなし
私が浪人を覚悟した時親父は言った
浪人はしない方がいい
別に平易な言葉かもしれない。今になってみれば、当時の親父が言いたかったことはわかる。勿論、私はその当時はその深い所を理解出来ていなかった
ただ、その意味を理解出来たのは年月月日が経ち、熱が冷め、雑多な経験を積み、高台に上りそこから街並みを俯瞰した時であろうか
歳を取るということはその分多くの経験値を得る羽目になる。羽目になるという表現はある意味で適切だと思う
経験値というのは厄介で、多様な悪しき未来という解を熱心に白塗りのスクリーンに投影し、浪漫の溢れる薔薇色の世界はスクリーンの外に捻じ曲げられてしまう
当時、親父は自分の経験値から悪しき解のより少ない方向に私を進めようとしたかった
ただ、私も同じであった
高校を辞めた生徒にも、やれやれ高校ぐらいでろ、せめて高卒認定ぐらい受け取っておけと散々説教したり…
気付いたら私も経験を元に打算的に物事を捉えるようになっているではないか?