お別れ

最期に玄関先で生徒が見送ってくれた


私はこの生徒に対して、あまり肯定的な感情を最期まで持ち合わせていなかった。寧ろ、受験に失敗して痛い目にあってしまえくらい思ったこともあったかもれない。


それでも私はこの別れを惜しいと思った


それは、二度とこの少年と会うことも、言葉を交わすことは無いからだろうか?


いや、それよりもある予見、確かに迫り来る私自身の、近い未来への不安からかもしれない。太陽が西の空に沈んでいくと、まもなく月が輝き出すのをほとんど本能的に予感できるように。


近い未来、春。それは、もう直ぐそこにきていた