いたくてつめたい

わたしは柱にそれこそ強打した右腕と右腿を引きづりながら、雪の中、橋の上をあるく、あるく。糞が。残った左腕でぐにゃり曲がったハンドルに殆ど、すべての体重を預けながら。わたしの哀れな姿に同情を寄せる者は一切、おらず。ただ、彼らはわたしの脇をスーと温帯低気圧になる寸前だかの台風が如く、去っていく。

 

痛み、冷、寒。ハハは。ぼくは何故か笑っていた。この笑いの所以は?追い詰められた者が見せるインチキで投げやりなそれではなく、この冷たい痛みへの対抗馬、希望というべきか、あの欲求、あの三人の公王のうちの一人が静かに立ち上がったのを。それから燃えるような狂気にも似たムラムラがペダルをひたすらに、漕ぎ、前に進めた。行くほーむ

 

家に着くと、勿論こと靴を脱いぐ。そのまま流れるように全部服も何も布きれ一枚無くなったが、それでも寒さなど感じてる暇など僕にはなく、暗がりのリビングで朝からご主人の帰りを健気に待つシーツのない布団の上に転がりこんで即座に、そのまま仰向けを迎えた。左足の土踏まずがつっている

 

それでも寒さに構ってる暇がなど、僕には無かった

 

強打で紫色に膨れたあがった右腕を、僕は半狂乱で上下に揺らしながら、宇宙創生、びっくばん、ちょうしんせいばくはつ、まーぼーやきそばアリストテレス。その暗闇で、部屋の天井すらよくわからぬ

 

まーぼーやきそばアリストテレスが南極熊が厚い氷をあのご立派な四肢で歩くそれに移り変わろうとしたそのとき。あたたかいベタベタする何かがちょうど私の頬あたりに、付いているのに気付いた。我に返った僕は、転がってるスマホを拾い上げ、仰向けに転がったまま、何ヶ月かぶりの日記を、そこに記すのであった