冷めたやつ

花火とか桜とか富士山の山頂から見た御来光だとか、初日の出とかね、そういうものを大勢の、多くの人間と一緒になってみると、何となく不安になる。

でもこれは単なる、あまり余った自意識からくる不安で、昨日僕が行った大曲の花火大会を例に考えると、周りの全国から集う老若男女や横にいる友人がこの花火を見て綺麗だという言うように、自分もこの闇夜に煌めく光景を見上げながら、心から美しいだとか、そういう類の感想が漏れ出るか、否か。でも多分そんなつまらん事をあれこれ考えてる時点で、あぁと、そもそも目の前の真夏の一大イベントに対して全く集中できていないし、もはやその問いに対する解はほとんど、考えるまでもないかもしれない。

この巨大な円形に広がるカラフルな光をみる、それと同時にこれは沢山の人間によって見られていて、皆各々感想を抱く訳で、そういうオマケ的な観念もちゃんとごっそり絡め取られて、人の熱気陽気が心の中に潤浸してくる。で、結局はトータルして概ね花火は綺麗かもしれんといういい加減な想いを抱きながら、大体満足したと決め込んで、のろのろと高速に乗った。