破局しました。ハロハロラムネ

行き場を失った私の想いは、何処に彷徨うまでもなくコンマ5秒でベルギープリンぱふぇへと向かったのだった.…

 

「ベルギープリンぱふぇで」

わたしは言い放った。二言はない。咄嗟のことに多少の動揺が露見していたのを、店員のキャワな女子は見逃さんかったとは、思う。

確かに、私のハロハロラムネ味への想いは日々日々膨らみ強固になっては膨張することを繰り返して、その内巨大な羊羹の様にわたしの腹の底で勤務日中に渡って鎮座し始めるやその存在感を遺憾無く発揮すること、わたしのハロハロラムネ味への愛は結構、そりや大変なもんなのである。

小宵、わたしがベルギープリンぱふぇと座を占める公園のベンチからは、綺麗な鈴虫の音色とノイズの効いたラジオが異様に爪と髪が伸びた老人によってもたらされており、自然な折り合いが付いた、端整な空気感に包まれている。

わたしは、そろそろお嫁様からお呼び出しを喰らう頃合いだろうと抜かすや、スマホの画面に噂の主が現れよった。リビングの床にぴったり張り付いたままロウのように溶けて、電話を掛けている様子が何故か手に取るように分かる。

 

そうこうしている内に、ハロハロラムネ味のことなぞわたしは忘れていたのだった。